February 23, 2020

初めて会ったのは、三年前の夏だったと思う。知り合いに「ちょっと変わった子なんだけど、気が合えば授業をお願いしたい」と英語のバイトとして引き受けたのがトモと出会うきっかけだった。

私はちっとも専門家ではないのだけど、簡易的に自閉症スペクトラムを説明すると以下のようなものかと思う:

自閉症スペクトラム障害には、社会面、コミュニケーション面、および行動面の課題が含まれます。これらの問題は、軽度、重度、またはその中間のいずれかです。 (元記事)

スペクトラムという言葉にあるように、症状の範囲は広く、一人一人カスタマイズされている。私はトモの事例しか経験したことがないので、大きい枠で話すことは難しい。けれど、彼を見ていて感じるのは、いわゆる「自閉症の課題」と言われているものの原因としては、自分のシャボン玉に閉じこもっている時に、それが割れてしまうことでショックを受けたり、不安や苛立ちを覚えてしまっているような気がする。

多分野生の中でトモが生きていれば、彼の生命力なら生きていくのだろうけど、集団的な要素が加わることで生きづらさを感じるのではないかと思う。

教えはじめ

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教えはじめは、ホワイトボードの裏が落ち着くと言って、逃げるように席を離れることが多かった。

最初の授業は絵本数冊とTOEFLの読解の文章を持っていった。英検を取っているとは聞いていて、どこからどうすればいいのかわからないまま初めて会った。絵本はちっとも感触がない中、TOEFLの文章は一個一個の単語の説明をかろうじて聞いてくれた、というような感じだったように記憶してる。

はじめは特に席からホワイトボードや机の下を行き来しながらの授業をやっていた。注意が逸れた先にあるものを題材にお話を少ししたら、また教材に引き戻す。最初は完全手探りで、好きそうなトピックでなんとか注目してもらったり、授業がなんで進みにくいかを探って、そもそも何を改善すればいいのかすり合わせる期間があった。

改善したこと

しばらく授業をすると、どうやら私の出題が難しすぎる(ごめん笑)、トピックはサイエンス系や仕組みの説明が好き、などのことがわかってきた。

完遂しないワークシートを都度改良して、授業内で終わらせられるように工夫するの繰り返し。厳密なフィードバックをしていた訳ではないのだけど、だいたい2〜4回の授業で興味を引きつけることができなければ題材を変えるか、授業やワークシートのフォーマットを変えていった。